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 印刷 2019年07月05日デイリー版4面

記者の視点】佐々木マヤ:米中貿易摩擦、国際輸送への影響/荷動き回復厳しく、海上シフトが加速

 米中両国は6月29日の首脳会談で貿易協議の再開を決めた。米国による対中関税「第4弾」の発動はいったん見送られ、トランプ米大統領は中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)への制裁を緩和した。ただ、米中貿易摩擦へのリスクがなくなったとはいえず、中国で生産活動を行う日本企業などは依然として危機感をぬぐえない。

 フォワーダー首脳はゴールデンウイーク(GW)前後で物流の状況が変わったと語る。「GW前には、米中による国際物流への悪影響は夏ごろまでだろうと予想していたが、今は荷動き回復に年内いっぱいかかるとみている」。先行きに対する不安感などから、メーカーが設備投資を抑制していることに加え、米中摩擦の長期化への懸念から、中国での集中生産を見直す動きが広がっているためだという。

 もともと人件費の高騰や労働力不足などから、中国からその他地域に生産をシフトする「チャイナプラスワン」の動きは近年になって増えていた。

 しかし、ここにきて米中摩擦によるメーカーの生産拠点分散の動きはさらに加速する見通しだ。メーカーは製造拠点の移転などに伴い、製造までの準備期間が生じるだけでなく、輸送ルートの見直しなどにより、サプライチェーン(供給網)の見直しを余儀なくされている。米中による関税の引き上げは見送りとなったものの、両国の協議の先行きは予測が難しい。米中摩擦の行方が見えないうちは、メーカーもフォワーダーもサプライチェーンの見直しを進めざるを得ず、それらに振り回される日々が続きそうだ。

 「モノがあるなら、1-2カ月前にオーダーがあるはず。夏に持ち直すと仮定すれば、本来今ごろ入っているはずだが、(物量が増えるような)気配は感じない」

 最近の航空貨物の荷動きについて、あるフォワーダーはこう語った。航空輸送は海上輸送以上に経済動向の影響を受けやすい。米中摩擦や中国経済減速以外にも、これまで航空便で出ていた貨物が船便での出荷に切り替わっていることが影響しているという。

 リーマン・ショック後の最多重量をたたき出した昨年度の反動からか、一部の電子部品など船では間に合わない緊急輸送を除き、荷主が運賃単価が安い海上輸送を使う傾向にあるというのだ。

 海上シフトの進展で航空貨物が一時的に減ることがあっても、海上やロジスティクスなど他のセグメントで補完する。特定の輸送モードに関わらず、物流全体を見ながら、米中摩擦をはじめとする経済動向にいかに柔軟に対応していくか、フォワーダーの手腕が試される。