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 印刷 2019年07月03日デイリー版4面

記者の視点】鈴木一克:内航総連栗林新会長体制/課題への具体的な対応求められる時期に

 日本内航海運組合総連合会は6月に開いた通常総会後の理事会で役員改選を行い、小比加恒久氏の後任の会長に栗林宏吉氏を選出した。

 傘下5組合も役員改選があり、会長に内航大型船輸送海運組合が中島正歳氏、全国海運組合連合会が藏本由紀夫氏、全国内航タンカー海運組合が筒井健司氏、全国内航輸送海運組合が後藤田直哉氏、全日本内航船主海運組合が瀬野和博氏をそれぞれ選任。中島、藏本両氏は新任で、筒井、後藤田、瀬野の各氏は再任となり、5人は内航総連の副会長にも就任した。

 小比加氏は2期4年にわたり会長職を務めた。会長在任中最後となった6月13日の記者会見で、2017年からの2期目を振り返り、「SOX(硫黄酸化物)規制強化への取り組みに追われた2年間だった」と説明。

 2期目突入直後に公表された国土交通省の内航未来創造プランでは、船舶管理会社の活用促進に向けた登録事業者制度の創設、船員の確保・育成を目的とした499総トン以下の内航船(船員育成船舶)の規制改革完了などさまざまな動きがあるなどした。

 一方で、暫定措置事業終了後の業界の在り方については、17年8月から正副会長会議で議論しているが、現在も継続協議になっているほか、SOX規制への対応も規制強化実施まで半年を切った中で課題も多い。内航業界の課題は山積する。

 栗林会長を中心とした新体制は発足当初からこうした課題に直面する。SOX規制に対して、栗林会長が就任会見で「混乱がないように対応する必要がある」と指摘。海運業界全体に影響する課題だけに、継続した官民連携による対応を期待したい。さらに、社会全般に環境コスト負担の必要性を理解してもらう取り組みも重要だ。

 内航海運の重要政策として続いてきた暫定措置事業も、遅くても22年度には終わる計画。近年は内航船の建造が堅調で、暫定事業の債務を返済するために事業者が支払っている建造納付金も多く集まっており、暫定事業が計画より前倒しで終了となる可能性も高い。

 こうした中で、事業終了後の業界の在り方をどうすべきかといった議論の集約は待ったなしの状況だ。さまざまな意見がこれまで出されたが、暫定事業終了後も業界が混乱することがないような結論に至ることを期待したい。

 その業界の在り方を考える上で、6月28日から始まった国交省の交通政策審議会海事分科会基本政策部会での議論も注目だ。暫定事業終了を念頭に置いた議論で、内航船員の働き方改革や輸送サービスを持続的に提供し続けるための事業の在り方、荷主との取引環境の改善など総合的な検討を進めていき、来年夏には一定の方向性を出す。

 会合には有識者、荷主のほか、内航総連正副会長らが出席。初回の会合では、内航業界の現状を踏まえた意見交換が活発に行われた。この場での議論がどのようになされていくのか。内航総連での業界の在り方の議論に影響するだけに注視したい。

 これからは、SOX規制や業界の今後の在り方に対して具体的な対応を実行する時期へと変わっていく。栗林会長らによる新体制がどのような手腕を振るうのか。注目していきたい。