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 印刷 2019年06月26日デイリー版1面

あえぐ国内造船業界/手持ち低水準、00年以来。受注環境厳しく

表・グラフ

 国内造船所が新造船手持ち工事量の減少に苦しんでいる。日本船舶輸出組合によると、5月末の新造船手持ち工事量は482隻約2385万総トンと、2000年以来19年ぶりの低水準だった。邦船社の発注停滞の長期化に加え、海外船主の発注意欲も鈍化。環境規制への対応と鋼材価格の上昇で船価が上がり基調にもかかわらず、用船料の低迷持続でミスマッチが広がっており、営業担当者は焦りを募らせている。

 「受注環境が本当に良くない。ほとんど引き合いがない」

 ある造船関係者はこう語る。船主や船社が度重なる環境規制強化に追われ、新造船の発注に手が回らなくなっているのも原因の一つだという。

 別の造船企業の営業担当者も「海運マーケットが不景気なのに新造船価が上がり、船主にとって新造するメリットがない」と話す。

 英クラークソン統計によれば、18年6月の新造船価はMR(ミディアムレンジ)型プロダクト船が3650万ドル、パナマックスバルカーが2800万ドル。ドライ市況の底だった16-17年に比べて350万-400万ドル上昇している。

 新造船手持ち工事量の近年の推移を見てみると、17年5月末が517隻2793万総トン、18年5月末が501隻2671万総トン、19年5月末が482隻約2385万総トンと、減少傾向に歯止めがかからない状況が続いていることが分かる。

 輸組関係者も「そもそも需要がない。VLCC(大型原油タンカー)にしても、新造するより中古船を買った方が相対的に良いという市場の判断がある」とこぼす。

 船台も21年度引き渡し分まではめどが付きつつあるものの、22年度以降に関しては見通しが立たないという。

 造船関係者は「環境問題は後戻りしない。どんどん厳しくなっていく。下がり過ぎたから、上がる余地はあるものの、船舶は今日明日の問題じゃない」と語る。

 欧州船主はSOX(硫黄酸化物)排出規制に伴う今年後半以降のプロダクト船マーケット上昇を見据え、中古船市場に目を向けている。低硫黄燃料などIMO(国際海事機関)の燃料規制に対応した輸送需要の高まりや、燃料コスト増に伴う減速航海の広がりで需給が引き締まるとみて、期近で引き渡しを受けられる中古船をメインとした投資に力を入れている。