2019 日本コンテナ航路一覧
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 印刷 2019年06月21日デイリー版4面

記者の視点】幡野武彦:コンテナ船社のロジ事業進出加速/コンテナ管理が鍵を握る

 コンテナ船社がいま、せきを切ったようにロジスティクス事業に進出している。最大手マースクはグループ会社のダムコのサプライチェーン事業などを統合し、コンテナ船の既存顧客への提供を開始。仏船社CMA-CGMも欧州物流大手シーバロジスティクスと戦略的提携を締結し、ロジスティクスまで提供機能の拡大を模索する。中国海運大手COSCOグループも、ロジスティクス事業の強化を目指す。

 なぜ、コンテナ船社がこれだけ内陸輸送や通関・保管など、海上輸送の周辺サービスまで手を広げるのか。一般的にいわれているのは、コンテナ運賃が低迷する状況で、本業である海上輸送だけでは収益を上げられない現実がある。

 コンテナ船社はこれまで手間のかかる内陸輸送などトータルロジスティクス事業を敬遠し、ポート・ツー・ポートに専念してきた経緯があった。それはそれで正しい判断ではあったが、競合他社も同じように海上輸送に専念したことで、どこもサービス内容が均質化。差別化できるのは運賃だけという状況に陥ってしまった。

 収益が上げられなくなったことに加え、コンテナ船だけでは事業拡大が難しくなっている現状がある。かつては世界規模でサービスを提供するコンテナ船社は20社近く存在したが、この20年余りで再編が進展。さらにマースクとP&Oネドロイド、CMA-CGMとAPLなど以前は盛んだったグローバルキャリアー同士のM&A(合併・買収)も、これからは独禁法の関係から難しいといわれている。

 例えば、コンテナ船社最大手マースクの立場で見ると、独禁法の関係からこれ以上の他船社買収は難しい。それではコンテナ船事業に専念しようとしても、過当競争で満足な収益を上げることは難しい。会社として事業を拡大する上で、大手コンテナ船社ほどロジスティクス事業に目を向けるのは必然といえるかもしれない。

 コンテナ船社が海から陸に上がって事業を展開しようという状況は、戦略としては正しいかもしれないが、果たしてうまくいくのだろうか。

 「しょせん、われわれ船社がロジスティクスに進出したとしても、陸に上がったカッパのようにすぐに干上がって(失敗して)しまう」。あるベテランの外船営業担当はこう語った。今まで何度も船社によるロジスティクスサービスの失敗を見てきたからだ。

 コンテナ船社がかつてロジスティクス事業で失敗したのは商売道具である箱、つまりコンテナ機器が陸上など自ら管理できない所まで行ってしまったことに理由があった。北米では鉄道会社を使った内陸輸送サービスを手掛けたものの、内陸部奥深くまで行ったコンテナ機器を戻すためのコストが膨らみ、四苦八苦した経緯がある。

 もちろん、コンテナ船社にとってはこうした苦い教訓は百も承知だろう。情報システムや貿易プラットフォームなど新しいツールを活用することで、無用なコストを膨らまさない工夫も考えられる。コンテナ船社の今後を考える上でも、ロジスティクス事業への進出はしっかり注目していきたい。