船員支援キャンペーン第2弾
 印刷 2019年06月21日デイリー版3面

匠かんさい】(14):松菱運輸/諸制度変化へ果敢に対応

大阪・南港営業所
大阪・南港営業所
神戸支店
神戸支店
角高社長
角高社長

 1945年に創業。60年代の港湾近代化施策である「三・三答申」を受け、68年に現行の法人体制を確立した。以来、通関、港湾運送、フォワーダー各事業を展開する。角高憲治社長は「米中貿易摩擦の激化など世界経済に不透明感は漂うが、環太平洋経済連携協定(TPP11)や日欧EPA(経済連携協定)発効を追い風にしたい」と意気込む。

 取扱品目はアパレルを中心に雑貨や家具などに加え、ニーズが高まっている日本からの食料品輸出も手掛ける。神戸港と大阪南港には自社倉庫を保有する。輸出入比率は金額ベースでおおむね輸入7割、輸出3割だ。

 大阪は日本有数の繊維産業の集積地で、かつて国産生地を輸出し海外で加工、製品にして輸入する課程において、同社は輸出入双方の物流を担った。85年のプラザ合意とその後の円高を受け、輸入メーンとなった。

 アパレル品の扱いが多いことから、輸入は上海発大阪向け短納期・安定配送といった各種物流サービスを展開中。輸出では缶詰などの食料品で欧州や米国、オーストラリア向けサービスも提供している。

 強みの通関業務では、2008年にAEO通関業者(認定通関業者)の制度が導入された翌年、大阪税関管内では2例目の認定を受けた。角高社長はかつて欧州で通関制度を視察した際「コンプライアンス(法令順守)管理は日本でも当たり前になる」と感じていたという。

 AEO通関業者の利点を生かし、18年に台風21号が関西を直撃した際は、輸出入申告官署の自由化制度を活用し混乱を回避した。「最近はAEO制度のレベルも向上し、当社もそれに応えていく必要がある」と角高社長は話す。

 足元ではTPP11や日欧EPAの発効で、当事国間の貿易拡大に期待がかかる。一方、EPA適用には特定原産地証明書の発給が必要で、通関業者として顧客の問い合わせに適切に応じられるよう情報収集を進める。

 繊維業者を顧客に多く抱える同社は、海外で加工・組み立てし再度輸入する際の減税制度となる関税暫定措置法第8条で、申告に際するきめ細やかな対応で実績があり、TPPやEPAでも同様の方針で臨む。角高社長は「逃げていてはダメ」ときっぱり。

 通関業者の大きな課題とされる、支払い関税立て替えの商習慣見直しにも取り組む。海上コンテナは航空貨物より量が多く、通関業者の立て替え額もかさむ。その際、金融機関から融資を受けると、金利分を業者が負担することになる。

 いま、業界挙げて顧客に対しNACCS(輸出入・港湾情報処理システム)のリアルタイム口座利用を促しているが、同社でも立て替え期間の短縮化などに取り組む。営業の際に経理担当者を同行させるなど、顧客からの理解に努める。

 物流を巡っては、昨今の港湾での渋滞の常態化やドレージ(横持ち輸送)不足を憂慮している。「ドレージは1カ月先まで予約が埋まり、本船入港が遅れると対応が困難」(角高社長)。港湾電子化などのイノベーション(技術革新)による諸課題解決に期待を込める。

 最近は現場だけでなく、事務作業でも指差呼称を取り入れる試みも。視覚だけなく触覚、聴覚も働かせ、仕事の質を高めるのが狙い。こうした硬軟織り交ぜた施策を取り入れ、さらに経営基盤を強化する方針だ。

(第1・3金曜日掲載)

 【会社概要】

 設立=1968(昭和43)年▽本社=大阪市西区西本町2―1―30▽代表取締役社長=角高憲治▽資本金=5000万円▽従業員数=約140人▽事業内容=通関業、一般港湾運送業、貨物利用運送業