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 印刷 2019年05月16日デイリー版1面

九州電・西部ガス・中国電・郵船/LNG燃料供給で実験。九州初、ノウハウ蓄積

北九州港で15日に行われた実証実験
北九州港で15日に行われた実証実験

 九州電力、西部ガス、中国電力、日本郵船は15日、北九州港でLNG(液化天然ガス)バンカリング(燃料供給)の実証実験を実施した。環境負荷の低いLNGは、次世代の船舶用燃料として期待されているが、燃料供給体制の整備が課題の一つとなっている。実証実験を通じてLNGバンカリングに関するノウハウを蓄積し、LNG燃料の需要の高まりに応える。

 実証実験は北九州市小倉北区の浅野地区岸壁で、日本郵船グループのウィングマリタイムが運航するLNG燃料タグボート「魁」を利用して行われた。燃料供給方式は、陸上のLNGローリーから船舶に供給するトラック・ツー・シップ方式が採用された。

 実証実験には海運、港湾、電力会社などから約100人の関係者が集まった。九州・瀬戸内地区でLNGバンカリングが行われるのは今回が初めて。

 岸壁に係留されている「魁」と陸側のLNGローリーとをステンレス製のホースで接続。ホース内に窒素を送り込み空気を除去した上で、極低温のLNGを通すためにホースを冷却。冷却されたことを確認し、圧力差を利用してローリーから「魁」にLNGを移送した。

 LNGが通るホースの連結部分が気密性を保持し、ガス漏れしていないことをガス検知器などで確認しながら、実証実験は進行。安全管理体制を確認しつつ、7トンのLNGが約1時間かけて「魁」の燃料タンクに補給された。

 九州電力の執行役員で企画・需給本部副本部長の常冨浩之氏があいさつし、実証実験の狙いを「LNGバンカリングのノウハウを蓄積するとともに、海運関係者に九州・瀬戸内地区でもLNG燃料を供給できることを証明すること」と説明。LNG燃料船の建造につながることに期待感を示した。

 北九州市の木本仁港湾空港局長は「北九州港には2つのLNG基地が立地し、寄港する船は年間5万隻に上る。LNG燃料の供給拠点としては、非常に大きなポテンシャルを秘めている」と語り、地の利を生かして港湾の発展を目指す考えを示した。

 九州電力と西部ガス、中国電力、日本郵船は昨夏、瀬戸内・九州地区での船舶向けLNG燃料供給事業の共同検討に関する覚書を締結。同覚書に基づき、今回の実証実験は行われた。

 LNGは従来型の舶用燃料である重油と比べて、SOX(硫黄酸化物)やPM(粒子状物質)の排出量は約100%削減できる。NOX(窒素酸化物)も最大80%、CO2(二酸化炭素)も約30%削減できる高い環境性能が特長だ。

 船舶用燃料を巡っては、2020年から燃料油中の硫黄分濃度規制が全海域対象に3・5%以下から0・5%以下に厳格化される。LNG燃料は同規制をクリアできるだけでなく、今後予想されるGHG(温室効果ガス)排出規制強化に対しても有効な選択肢とみなされている。

 九州電力の常冨氏は、「欧州や中国ではLNG燃料船が続々と建造されている。LNG燃料供給体制を整えておかなければ、日本に寄港しづらくなり、貿易上の不利益を被る恐れもある」と、4社のアライアンス体制の発足経緯を説明した。