2019 日本コンテナ航路一覧
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 印刷 2019年05月16日デイリー版1面

郵船クルーズ/「飛鳥III」建造を具体化。既存船は星港センブコープで改装

郵船クルーズの坂本深社長(中央)、センブコープ・マリンのウォン・リー・リン・ダイレクター(左)、アルビン・ガン副社長(右)
郵船クルーズの坂本深社長(中央)、センブコープ・マリンのウォン・リー・リン・ダイレクター(左)、アルビン・ガン副社長(右)

 日本郵船グループの郵船クルーズ(坂本深社長)は、保有・運航する客船「飛鳥II」に続く新造船「飛鳥III」の検討を本格化する。今月1日付で「新造船検討プロジェクトチーム」を発足、今後2年をめどに検討結果をまとめ、取締役会で判断する。一方、「飛鳥II」(50、142総トン)は来年1月からシンガポールの修繕・海洋大手センブコープ・マリンでリニューアル工事を実施し、2030年ごろまで運航する計画。日本籍のクルーズ船がシンガポールでドック入りするのは初めて。

 郵船クルーズの坂本社長、センブコープ・マリンのウォン・リー・リン・ダイレクター、アルビン・ガン副社長が15日、横浜市で開催した記者会見で明らかにした。

 「飛鳥II」の改装は、20年に始まるSOX(硫黄酸化物)排出規制に対応してスクラバーを搭載するほか、露天風呂の設置やレストラン・ラウンジの改装などを行い、快適性をさらに高める。

 郵船クルーズは「Bridge to AIII(飛鳥III)」と銘打ち、これまでも1990年竣工の「飛鳥II」の代替・新造を検討してきた。今回、河村洋取締役をトップとするプロジェクトチームを社内に立ち上げ、検討を本格化。21年中に新造船に関する提言をまとめ、取締役会に提出する。

 坂本社長は新造プロジェクトについて「(船舶投資ファンドを運営する)アンカー・シップ・パートナーズが3月末に当社へ資本参加したことで、新造整備に対するファイナンス面の制約は小さくなった」と説明。

 その上で「まず検討するのは、ラグジュアリーなサービスを磨いてきた当社が今後、長期的にどのような形のサービスを提供していくかだ。その上で新造船が必要との結論が出れば、それに応じた仕様を検討することになる」と語った。

 一方、「飛鳥II」は20年1月半ばから、センブコープ・マリンで改修工事を実施する。投資額は基礎工事も含めて数十億円規模。工期は45日で、3月上旬に航海に復帰する。同船の大規模な改修は06年以来。坂本社長は「改修後、少なくとも30年ごろまでは運航したい」とした。

 坂本社長はセンブコープへの初の入渠を決めた背景について「日本郵船がLNG(液化天然ガス)船などの修繕ドックとして長年起用しており、技術面・運営面で信頼が置けること。これに加え、海外クルーズ船社の客船の修繕で豊富な実績があること」と説明した。

 センブコープのリン・ダイレクターは「タイトなスペースへのスクラバー設置などを短い工期で終えるのは大きな挑戦だが、郵船クルーズとの信頼関係の中で仕事ができるのは光栄だ」と話した。

 「飛鳥」については、日本郵船の長澤仁志次期社長も「当社のフラッグシップとして事業継続したい」と社長交代会見で明言していた。しかし、従来のように郵船本体が100%保有する形態では、1隻500億円超と言われる客船を建造するには、「投資額の観点からも難しい」(郵船幹部)とされてきた。

 今回、郵船クルーズが飛鳥IIIの新造検討を具体化できるのは、アンカー社が郵船クルーズに50%出資したことで、同社が郵船の持ち分法適用会社に移行したことが大きい。

 本体の有利子負債にオンバラ(資産・負債計上)化しないほか、資金調達面でもアンカー社が地方銀行などと連携する見通しだ。