電子版6つのNEW
 印刷 2019年05月15日デイリー版4面

記者の視点】山田智史:進化するソリューション営業/「技術力×デジタル」新創造に注目

 最近、取材中にソリューション営業という言葉を耳にする機会が多かった。特段、新しい表現ではないし、使い古された感もある。だが、営業活動におけるキーワードの一つであることに変わりはない。

 ソリューション営業の本質は、顧客のニーズを満たすことにある。顧客が望むことを実現したり、顧客が抱える課題を克服するために、サービスや製品を提案する。

 ただ取り巻く環境が変われば、顧客の求めるものも変わる。ビッグデータやAI(人工知能)などの技術革新により、サービスや製品といったソリューションも変化する。

 まずは顧客の要望や課題を的確に把握しなければならない。顧客に寄り添って目線を合わせなければ、顧客ニーズの核心に迫ることは難しいだろう。

 将来のニーズを予測することも欠かせない。「仮説を立てて、それを基に対話を重ねていく」(船舶金融関係者)ことが、ニーズの掘り起こしと速やかなソリューションの提供につながる。

 ソリューションを提案する能力に磨きをかける必要もある。ソリューションのバリエーションを増やすには、外部のパートナーの協力も必要かもしれない。

 ある海運会社がこのほど、ドライバルク船の部署内に新たにソリューション営業に関わる専門チームを立ち上げた。輸送サービスを提供する荷主だけでなく、船を借りている船主なども対象としている。

 同社は長年蓄積してきた知見やノウハウを生かし、海事産業全般向けにさまざまなソリューションを提供してきた。今後は自社の差別化ツールとして活用するだけでなく、外売りにもチャレンジしていく。

 技術的なソリューションに対するニーズの高まりも、同チームの設置を後押しした。ドライ船でもタンカーと同様に、荷主の輸送品質に対する高度な要求への対応が課題になっている。先進国が乗り越えてきた課題に直面する新興国の顧客も多いという。

 海事産業を取り巻く事業環境は目まぐるしく変化している。その変化のスピードも速い。環境や会計に関するルール変更への対応は大きな課題になる。

 サービスや製品を一変させる起爆剤になると目されているのがデータだ。

 今後も海運会社に求められるのは、海技者の技術力をベースにしたソリューションだと思う。それを基に、デジタル技術などを掛け合わせることで新たに創造されるソリューションに注目していきたい。