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 印刷 2019年05月15日デイリー版1面

川崎近海汽船/外航船隊を拡充。発注残5隻、バイオ・鋼材が軸

 川崎近海汽船が外航船隊を拡充する。既存船の代替更新も含め、発注残は1万3000-1万9000重量トン級近海船5隻に拡大した。バイオマス発電用燃料の輸送需要の高まりに応える狙いだ。バイオマス燃料の長期輸送契約にもめどを付けているが、久下豊専務取締役は「これら復航貨物につなげる往航貨物として日本発の鋼材の取り込みが課題になる」と語る。

 川崎近海の外航船の発注残の内訳は、1万3000重量トン型3隻、1万9000重量トン型2隻。いずれも新来島どっくで建造し、2020年前半に引き渡しを受ける。

 13型は二層甲板型のツインデッカー、19型はシングルデッカー型のスモールハンディバルカーでいずれも船の入れ替えにあわせつつ、船隊を拡大させることになる。

 外航船隊の輸送能力を拡充するのは、PKS(パームヤシ殻)やウッドペレットなどバイオマス燃料の輸送が本格化するためだ。

 すでに、複数のバイオマス燃料の長期COA(数量輸送契約)を獲得。それらの契約が19年半ば以降に順次スタートするのを見越して、必要な船腹を手当てした。

 日本向けの復航カーゴであるPKSやウッドペレットの輸送量が増えるのに伴い、日本発の往航カーゴである鋼材の営業活動も強化する。

 川崎近海は往航に関しては船隊に余剰感があった。このため、TCアウト(定期用船貸し出し)で運用する機会が多かった。結果として採算的にはこれが効を奏した。

 昨秋以降は、日本発の鋼材運賃の修復も進捗(しんちょく)。川崎近海の近海部門の構造改革も進展したことなどから、鋼材の輸送需要を取り込み、往航のTCアウト比率を引き下げることを目指している。

 川崎近海が強みとするロシア炭の輸送量が増えていることも船隊整備を後押しした。

 同社は昨年、約400万トンのロシア炭を輸送。日本のロシア炭の輸入量は1800万トン規模なので、そのうちの2割強を同社が運んでいることになる。

 川崎近海の外航船隊は、1万-1万3000重量トン級ツインデッカー8隻、1万1000-2万8000重量トン級ハンディバルカー15隻の計23隻。

 ここ数年は近海船市況が振るわない中で、高コスト用船の早期返船などを通じて競争力の再構築を図ってきた。それら取り組みが奏功し、19年3月期の部門営業損益は8年ぶりの黒字を確保した。