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 印刷 2019年05月14日デイリー版1面

米国の対中関税25%/コンテナ、マイナス影響も。不専船、市況悪化を懸念

 米トランプ政権が2000億ドル(約22兆円)分の中国製品に課す制裁関税を現在の10%から25%に引き上げたことで、海運業界への悪影響を懸念する声が高まっている。アジアと米国を結ぶ定期コンテナ航路では中国発シェアが6割超のため、関税引き上げの影響が一番出やすいといわれている。不定期専用船では米中貿易戦争の激化により、世界経済の景気減速による市況悪化を心配する。ただし、どうなるか不透明な部分が多く、関係者は固唾(かたず)をのんで見守っている。

■コンテナ、中国発は6割

 アジア発米国向けコンテナ航路(北米東航)では近年、ベトナムなどの存在感が高まっているが、それでも中国発は6割超と依然として圧倒的な存在感を示す。

 米トランプ大統領による対中関税引き上げだが、これまでは大きな影響が出ていなかった。むしろ米中貿易戦争に備えた駆け込み出荷により、18年の北米東航コンテナ貨物量は過去最多を記録した。

 年明けもその流れは変わらず、今年3月の貨物量は前年同月比1%増の122万TEU。同月実績としては過去最多を記録した。

 もっとも、「今までの関税10%では荷主が一部負担してなんとか乗り切ったようだが、25%だとそれは無理。間違いなく中国発の荷動きが減るのでは」(コンテナ船関係者)との見方が強い。

 ベトナムなど中国以外の貨物量増加が期待されるものの、北米トレード全体を補うには至らないのではといわれている。

■不専船、市況押し下げ懸念

 不定期専用船関連では、関税上乗せによる直接的な影響よりも、米中間の貿易交渉がこじれることによる景気悪化への影響が懸念されている。

 貿易交渉が泥沼化し中国の景況が悪化すれば、鉄鉱石や原油の需要減退を招く恐れがある。それがドライバルク船やタンカー市況を押し下げる可能性がある。

 今回の米国による対中関税上乗せの影響について、ドライ船とタンカーいずれの関係者も「直接的な影響はないだろう」と口をそろえる。ただ、「交渉がこじれて泥沼化すれば、世界経済やトレードへの影響は計り知れない」とある不定期船社の首脳は危惧する。

 米中貿易摩擦を巡って両国の景気後退が懸念されたが、足元は落ち着きを取り戻しつつあった。再び貿易交渉の先行き不透明感が強まっている。