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 印刷 2019年05月14日デイリー版1面

三井E&SHD/商船新造事業を縮小。千葉工場、事業転換へ

 三井E&Sホールディングスは10日、千葉工場での商船新造事業を縮小することを、同日発表したグループ事業再生計画の中で明らかにした。同工場は今後、ガス運搬船などのタンクや大型鋼構造物を対象とした事業に注力する体制へと段階的に変換する。

 同社は日本海事新聞の取材に対し、千葉工場の商船新造事業は「撤退ではなく縮小。現時点では継続していきたい」(広報)とコメントした。

 同社は事業再生計画の説明資料で、商船の世界的な供給過剰と低船価状態が継続しており、艦艇・官公庁船や鋼構造物事業に比べて、採算性の悪化が続いていると指摘。

 オイル、ガス、再エネ資源など成長事業へのリソース集中を掲げつつ、造船やエンジニアリングの不採算事業では体制の整理と再編を進めることを明記した。

 こうした方針を踏まえ千葉工場については、20年度に既受注船を引き渡した後、商船新造事業を縮小。中小型ガス運搬船向けタンクや、海底トンネルを構成する沈埋函など鋼構造物の製造へとシフトする。

 併せてFPSO(浮体式石油生産・貯蔵・積み出し設備)やガスビジネスなどエネルギーエンジニアリング事業の受注拡大を目指し、社内に新しい組織を設立することも決めた。

 三井E&SHDの2019年3月期の純損失は695億円。インドネシア向け大型石炭火力発電所の建設工事に関する累計損失が810億円に上っており、財務基盤の立て直しに向け資産の売却や固定費の圧縮を急いでいる。

 ガスタンクの製造を巡っては、すでに今年3月に佐々木造船からLPG(液化石油ガス)運搬船1隻のガス関連設備の供給に関する発注内示を受けている。

 子会社のTGEと協力し、ガスハンドリングシステムの設計や、ガス機器装置の支給、タンク製造、据え付け工事および艤装工事を一括して請け負う。同事業はさらにエチレン船、LNG(液化天然ガス)船、LNG燃料船などへ対象を広げていく予定だ。

 また、昨年10月には子会社の三井E&S造船と三井物産が、中国造船大手の揚子江船業グループと合弁会社を立ち上げることで合意。中国に製造拠点を確保して協業を進めることで建造コスト削減と中国関連受注の取り込みを目指している。事業の開始は今年6月ごろを見込んでいる。

 三井E&S造船の18年度の新造船受注内訳は商船11隻、艦艇・官公庁船4隻の計15隻。受注残は商船が21隻、艦艇・官公庁船が9隻の計30隻となっている。