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 印刷 2019年05月14日デイリー版1面

インタビュー 新社長の舵取り】エム・オー・エル・シップマネージメント社長・今井章景氏/海技者育成に注力

エム・オー・エル・シップマネージメント社長・今井章景氏
エム・オー・エル・シップマネージメント社長・今井章景氏

 商船三井グループのインハウス船舶管理会社エム・オー・エル・シップマネージメントは船員配乗(マンニング)や、テクニカル管理のほか、海技者育成機能も担い、同グループの安全運航を多方面から支えている。4月1日付で社長に就任した今井章景氏は「海技力を高め、将来的に運航支援などを担当する人材や海外拠点で活躍する人材の基礎を作る」と語る。(聞き手 鈴木隆史)

 --事業内容は。

 「当社は商船三井グループのインハウスの船舶管理会社。4月1日付で商船三井本体に新設された『タンカー・乾貨船海技統括部』を実務面で支える乾貨船部門の中核的な船舶管理会社として、保船力の向上に努めている。船舶管理だけでなく、同グループの海技者育成機能も担っている。海上経験を積んだシニア職員を陸上でSI(船舶管理監督)として起用し、経験を積ませている」

 「陸上勤務になることで、初めて組織や法令など全体像が見えてくる。海技力を高め将来的には商船三井本体のスーパーバイジンググループ(SVG)や海外拠点で活躍する人材の基礎を作る。また、海上に浮かぶ船体のメンテナンスを学ぶことで海洋事業でも活躍できる人材を育成する」

■他の拠点を指導

 --船舶管理の現状は。

 「当社では、バルカー、チップ船、自動車船などの乾貨船を管理している。また、シンガポール、マニラ(フィリピン)など他の同グループの船舶管理拠点の指導にも当たっている」

 「シンガポールのMD(マネージング・ディレクター)は当社出身者が歴任。マニラは現地有力企業マグサイサイグループとの合弁会社で、アドバイザーを当社出身者が務めている。当社で経験を積み、海外拠点の幹部となった好例だ」

 「シンガポールは邦船3社のコンテナ事業統合会社ONE(オーシャンネットワークエクスプレス)の運営部隊が同国に拠点を構えたことで、コンテナ船と自動車船の管理が中心だ。マニラではバルカー、チップ船の管理が主体」

 --船舶管理で重視することは。

 「何といっても人材だ。乗組員は船舶管理の要。船員家族会などにも参加し、顔を合わせたコミュニケーションを心掛け、グループ全体の方針などを伝えている。当社管理船で配乗している船員の出身国は日本、フィリピン、ベトナム、ロシアの4カ国。各地でマンニング会社と提携し、履歴などを確認し、適材適所で配乗している」

 「フィリピン人の割合が最も大きい。2018年に現地に同グループ自前の商船大(MMMA)が開校したので、今後もフィリピンは有力な船員供給ソースとなる」

 --SOx(硫黄酸化物)規制への対応方針は。

 「規制開始の1カ月前までに、管理する各船で準備を完了させる。適合油の確保や燃料油の切り替え、供給場所の選定などを済ませるよう計画している。スクラバー(排ガス浄化装置)はケープサイズバルカー1隻で搭載工事中だ」

■FOCUS運用

 --今後の戦略は。

 「デジタル技術の推進では、18年10月に始動した運航データ利活用プロジェクト『FOCUS』の実行主体として、商船三井本体のスマートシッピング推進部と連携していく。当社が運用の中核を担うので、現場で得られた知見を同部へフィードバックしていく。現在、商船三井仕組コンテナ船2隻、バルカー1隻に搭載し運用を開始した」

 「さらに、商船三井グループを代表するフラッグシップの管理に注力する。環境負荷低減を志向するISHINシリーズバルカーや、次世代型新鋭自動車船フレキシーシリーズなどを管理していく。今後普及するLNG(液化天然ガス)燃料船の管理も積極的に実施したい」

 「他方で、これまでグループ向けの船舶管理を手掛けてきたが、今後はサードパーティーにも営業活動を広げていきたい。検討を開始したばかりだが、国内船主などからの管理受託船を増やしていきたい」

 --好きな言葉は。

 「『マイシップ』という考えを大切にしている。これは『管理する船は自分の家のように丁寧に扱う』という意味。徹底することで船舶管理レベルの向上につながると思う」

 いまい・たかかげ 83(昭和58)年神戸商船大卒、大阪商船三井船舶(現商船三井)に三等機関士として入社。15年エム・オー・エル・シップマネージメント移籍、19年4月1日から現職。兵庫県出身、58歳。