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 印刷 2019年05月13日デイリー版4面

記者の視点】佐々木マヤ:航空貨物、想定外の減速/くすぶる米中摩擦、予断許さず

 航空貨物運送協会(JAFA)によると、2018年度の日本発航空貨物の輸出重量はプラスで推移したものの、TC3(アジア)向けが前年度比1%減と3年ぶりに減少した。昨秋ごろから始まったマイナス傾向が、第4四半期(19年1-3月)に顕在化した。

 第4四半期の推移をみると、1月が8%減、2月が13%減、3月が22%減と減速が続いている。「特に中国では昨秋ごろから製造業などの設備投資が抑制傾向にあり、これに伴い日本から各国への機械関連の輸出が大幅に減少している」。春節前、年度末前の駆け込み出荷も例年に比べ弱かったとフォワーダー各社は振り返る。

 4月末に発表された邦人航空会社3社の19年3月期業績をみても、貨物郵便事業の売上高は全社が年度目標に届いていない。ANAホールディングス(HD)が73億円、日本航空(JAL)が10億円、日本貨物航空(NCA)が43億円未達だった。ANAHDは「昨年11月まではほぼ計画通り推移しており、その勢いでみていたが、米中貿易摩擦や中国経済減速の影響が想定以上に出た」(福澤一郎執行役員)と第4四半期の貨物事業が苦戦したことを明かした。直近の第3四半期で通期業績を上方修正したJALにとっても、強気にみていただけに痛い結果だっただろう。航空会社も、第4四半期のここまでの貨物の減少については想定外だったようだ。

 日通総合研究所が3月末に公表した「2019年度の経済と貨物輸送の見通し」の改訂版によると、19年度の航空輸出は4年ぶりにマイナスに転じる見通しで、主力のアジア線での中国経済減速や米中貿易摩擦の影響によるマイナス幅の拡大を加味したとみられる。前回公表(18年12月)の対前年伸び率を大幅に下方修正したことからみても、年明け以降のアジアの減速がいかに大きいものだったかが分かる。

 トランプ米大統領が今月8日の選挙集会で対中制裁関税の引き上げを公表したことで、米中摩擦への懸念が再び高まりを見せている。米中両国の協議の推移によっては、予断を許さない状態だ。米中貿易摩擦が長期化し影響が拡大すると、航空貨物がさらに大幅なマイナスとなる可能性もあり、動向については注視する必要がある。