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 印刷 2019年05月13日デイリー版2面

国内船主の今】(165):郵船トップ交代、事業方針注目/BBC船リファイナンス

 4月26日午後、東京都内。偶然、上京していた日本船主が驚きを隠せずに話す。

 「まさかこのタイミングで日本郵船の社長が交代するとは。長澤次期社長はどんな人なのか教えてほしい」

■用船方針の行方

 日本船主にとって海運大手のトップ交代は一大事。ドライ、タンカーを問わず用船契約を結ぶオペレーター(運航船社)のトップである。今後、不定期船の事業方針はどうするのか、タンカーは縮小するのか、船舶管理についての考え方は・・・。

 海運大手トップの方針は、船隊整備、用船契約の方針に微妙に影響する。

 商社関係者が話す。

 「日本郵船の不定期船事業は昨年から積極的に不採算船の処分を開始した。新造案件についても荷主がついていれば投資する余地はありそうで、完全否定という感じではない」

 長澤次期社長はもともとLNG(液化天然ガス)事業が主戦場。しかし、副社長に就任してからは不定期船事業のてこ入れを業務の中心に据えてきた。

 郵船関係者が話す。

 「部下からのアイデアを積極的に吸い上げ、不定期船部内に船主業、用船業務など責任分担を明確化させた。荷主へアプローチする営業チームがやりやすい環境を作ってくれている」(ドライ関係者)

 海運大手が新規の定期用船案件を事実上、凍結してから久しい。ドライ市況はまだ低迷しているが、日本郵船の不定期船事業は復活の兆しを見せている。新社長に対する日本船主の期待感も大きい。再び邦船オペ-船主間が二人三脚で船隊整備を進める時が来るか。

■PO行使巡る競争

 「黙っていても仕事が舞い込んでくる訳ではない。こちらから仕掛けていかなければ死活問題だ」

 商社船舶部の船主担当者が力説する。

 新造船商談はもちろん、ここにきて頼みの綱だったBBC(裸用船)案件でさえ先細ってきた。

 地方銀行間の競争が激しいほか、リース会社が参入していることでBBC案件は極めて利益率の低い案件になりつつある。

 そこで商社が現在目を付けているのが、足元でパーチェス・オプション(PO、買い取り権)の更改期を迎えているBBCのリファイナンス(再融資)案件である。

 海運ブローカーが解説する。

 「最初にBBC取引が開始されたのは今から3年前の2016年。この時、欧州オペ-日本船主間で契約したBBC船が相次ぎPO行使の契約更改期に入っている。これを商社がリファイナンスしようとしている」(海外に拠点を置くブローカー)

 BBC船のリファイナンスとはどういうことか。

 単純に言えば住宅ローンの借り換えに近い。

 欧州オペが3年目のPO行使の契約更改を迎え、日本船主からいったんBBC船を購入。新たに別の日本のBBC船主へ保有を打診し、その日本船主が船舶融資を借り換える。

 このリファイナンスにどのようなメリットがあるのか。

 地銀関係者が語る。

 「16年当時に比べ、銀行間の競争が激しく金利も下がっている。今、リファイナンスを組んだ方が、船舶融資をさらに安く抑えることができ、結果的にBBC用船料にも競争力が出る」(船舶融資担当者)

 現在、商社はこのリファイナンス案件の発掘に必死だ。

 BBC船の保有にはリース会社も乗り出している。商社、ブローカー、リースの各当事者がBBCのリファイナンス案件の組成に向け熾烈(しれつ)な競争を繰り広げている。

(国内船主取材班)

=毎週月曜掲載