電子版6つのNEW
 印刷 2019年05月10日デイリー版1面

海運大手/自動車輸送5-8%削減へ。今期、採算重視し選別

 海運大手は、今期の自動車船事業の輸送台数を前期比5-8%削減する方針だ。採算性を重視し、不採算貨物の取り込みを手控えることが主因。輸送ニーズの多様化や資源国向けの荷動き不振などで、自動車船事業を取り巻く環境は厳しさを増している。今後も安定的なサービスを提供し続けるために、貨物や航路の選別を継続する。

 2020年3月期の各社の自動車船の輸送台数予想は、日本郵船は前期比8%減の312万台、商船三井は5%減の403万5000台、川崎汽船は5%減の347万3000台をそれぞれ見込む。日本郵船と商船三井は2期連続の減少になる見通しだ。

 邦船大手の3月末時点の自動車船隊は、日本郵船118隻(前年同期比1隻減)、商船三井113隻(同6隻減)、川崎汽船84隻(同6隻減)。

 中小型船から大型船への入れ替えなどで、隻数は減っても輸送能力は維持させている。

 今期、海運大手各社が自動車輸送台数で削減予想を前提とする背景には、同事業の採算性が急速に低下していることが背景にある。「事業基盤が揺らげば、サービスの安定性も損なわれる恐れがある」と海運関係者は危機感を隠さない。

 中近東など資源国向けの荷動き不振も輸送台数の押し下げ要因になる。米中貿易摩擦のあおりで、中国向けの荷動き減退が予想されることも下押し圧力になる。

 自動車船の輸送ニーズは自動車メーカーの生産戦略に応じ、輸送距離の短距離化や小ロット化、多頻度化が進行。資源国向けの荷動き減退と相まって、自動車船オペレーターの採算悪化要因になっていた。

 自動車船オペは高齢船の解撤処分や用船の返船で船隊を圧縮。船隊の稼働率向上や航路の改編、減速運航などを通じて収支改善に注力してきた。日米貿易交渉、ブレクジット(英国のEU離脱)に伴う景気減速など懸念材料は少なくない。海運としては、自動車船事業では航路の選択と集中を継続せざるを得ない状況が続く。