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 印刷 2019年05月09日デイリー版4面

記者の視点】高橋郁夫:GW明けの東京港混乱回避/五輪対策に貴重な教訓

 「まずは胸をなで下ろしている」。史上初となった今年のゴールデンウイーク(GW)10連休明けの8日、東京港のコンテナターミナル(CT)関係者の述懐だ。国内最大のコンテナ港湾として首都圏を含む東日本の産業・国民生活を支える東京港。GW明けに懸念されていた物流面での混乱は起こらなかった。

 未曽有の大型連休を挟み、東京港のコンテナ物流の混乱をどう回避するか。港湾管理者の東京都、コンテナ埠頭を管理する東京港埠頭会社、それに現場の荷役オペレーションを担う港運各社は、早くから事前調整を進め、4月初めに国内港湾として初となるゲートオープン時間の夜間延長をGW前後に行うことを決めた。同時に、GW期間中の特定日に事前予約制でCT内のコンテナ搬出を可能とする臨時ゲートオープンも実施。さらに蔵置能力に制約があり輸入コンテナが滞留する恐れのある公共CT(青海・品川)ではGW期間中の本船荷役見合わせも船社に伝え理解を求めた。

 長期化している今年の港湾春闘の絡みで、組合側が実施を示唆していたGW期間中のストライキも直前で回避され、臨時ゲートオープンは予定通り実施された。食料品などが入った輸入リーファーコンテナの搬出に一定の効果があったほか、ターミナル側がリーファーコンセントの臨時増設(可搬式の発電機設置)を行うなど万全の措置を講じ、混乱が避けられた形だ。

 「何より、荷主側も事前に在庫調整を行うなどし、GW期間中の荷動き抑制に動いたことが効いた」(関係者)。このことは来年夏の東京五輪開催時の対応にも大きな示唆を得たことになる。

 多くの競技会場と選手村が東京臨海部に集中する東京五輪では、コンテナ物流車両(1日約1万台)に大会関係車両(同約6000台)が加わり、交通需要マネジメントの実施による港湾物流との調和が避けられない課題となっている。鍵を握るのは荷主企業への周知・協力要請。都・埠頭会社は今年2月から働き掛けを本格化しているが、今回のGWで混乱が回避できたことは、事前の協力要請が極めて重要であることを示している。

 もちろん、GW対応で講じられた港湾側のさまざまな取り組みの発展的な展開も不可欠で、これらの総合的な対策を事前トライアルも交えながら地に足を付ける形で実施していく必要がある。関係者の粘り強い取り組みと荷主、船社などとの相互理解・連携促進に期待を寄せたい。