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 印刷 2019年04月24日デイリー版2面

MariTech 海事未来図】(15):DNV―GL/デジタル化で負担・コスト低減

ベラシティー(イメージ)
ベラシティー(イメージ)
DNV-GLマリタイムのクヌット・オーベック・ニールセンCEO(最高経営責任者)
DNV-GLマリタイムのクヌット・オーベック・ニールセンCEO(最高経営責任者)

■ほぼペーパーレス

 欧州船級協会DNV-GLは、ノルウェーのオスロに本拠地を置くDNV(デット・ノルスケ・ベリタス)と、ドイツのハンブルクにあるGL(ゲルマニッシェル・ロイド)が合併して2013年に誕生した。世界100カ国以上に350の事務所、1万3000人のスタッフを抱え、海事、石油、ガス、電力、再生可能エネルギー業界へのリスク管理と品質保証サービスを提供する。

 DNV-GLの三浦佳範マリタイム・テクノロジー・アンド・リサーチ部門マネージャーは「船級業務をみると、デジタル化はこの3年で進み、ほとんどがデジタル媒体で業務を行っている。ほぼペーパーレス」と語る。検査業務での証明書発行は原則電子化されているほか、船に備える船級証書と各種条約証書についても、法整備されていない一部の国を除き対応済み。偽装防止、検査後の変更点のデータの随時更新などもカバーする。

 デジタルサービスのベースとなるのは、オープン・インダストリー・プラットフォーム「Veracity(ベラシティー)」。検査の申請、証明書発行もここを通じて行う。海事関連では、船舶からのビッグデータをベラシティー・データファブリックとして安全に保管。データ所有者がクラウド上でデータを管理、利用することができる。さらに、アプリケーション・プロバイダーなどがベラシティー上のデータ利用を希望する場合は、データ所有者との合意に基づきデータへのアクセス鍵を提供する。海事業界内外の誰でも登録でき、足元ではアクセスできる対象は15万人に達した。

 検査面では、ベラシティーを通じた多様なサービスにより乗組員の負担軽減や、検査員の効率派遣などによる顧客のコスト低減を推進している。今年1月から提案型の検査リクエストシステム「スマート・サーベイ・ブッキング(SSB)」を開始。最適な検査の開始時期、検査範囲、検査場所などを各船に提案する。3月には、一部検査で遠隔サービス(リモート・サーベイ)をスタート。顧客や乗組員がオンライン上にアップした情報やビデオストリーミングを使用することで、安全で効率的な検査を実現する。

 このほか、造船所、舶用機器メーカー、船主、オペレーター向けに、技術的質問に400人の技術専門家が24時間体制で対応する「DATE(ダイレクト・アクセス・ツー・テクニカルエキスパート)」、船舶管理監督(SI=スーパーインテント)などが管理している船の状況を逐次把握できる「MY FLEET APP」などのサービスを提供している。

■「自律化」定義せず

 DNV-GLは自動運航船に関して、民間企業の複数プロジェクトに参加し、技術的支援をしている。18年には、ガイドラインを発行。他のガイドラインと異なり、この中では自律化の定義をあえてしなかった。無人船とすることが必須ではなく、自律船の機能が高まってきても、顧客のニーズなどもあり無人化の可否が決まらないことに対応する。「自律化レベルや無人化レベルを設定すると、自律イコール無人になってしまう。これを避けるためそれぞれのレベルを設定していない」(三浦氏)。現在は、陸上での遠隔操縦を監視する規則、船と陸の間の通信インフラの安全に関する認証のガイドライン、などの策定を進める。

 安全面のリスク対応でも、ベラシティー上にアプリを備えるなど万全な体制を整える。「サイバーアタックを受けた場合、その9割がヒューマンファクターによるもの。認知が足りないほか、知っていても管理がしっかりしていない」(同)ことを踏まえ、シミュレーションでサイバー攻撃を体験しシステムの脆弱(ぜいじゃく)性などを実際に確認する「サイバー・セキュリティー・マネジメント(CSM)」サービスなども実施している。

 新たなサービスとしてデジタルツインの活用も進める。参加者を募りワークショップなどを開催し、ニーズの把握など作業を進める。年内には具体的プロジェクトの開始を見込む。