電子版6つのNEW
 印刷 2019年04月15日デイリー版3面

ヤマトG/3PL強化を事業の柱に。アカウントマネジメント、グループ挙げ注力

長尾社長(中央)と小菅社長(右)、栗栖社長(左)が会見し、経営方針などを説明した
長尾社長(中央)と小菅社長(右)、栗栖社長(左)が会見し、経営方針などを説明した

 ヤマトホールディングス(HD)の長尾裕社長ら同グループの主要3社の新トップは11日、基幹物流拠点「羽田クロノゲート」(東京都大田区)で会見し、3PL(物流一括受託)事業を強化し、宅急便に続く事業の柱として成長を目指す考えを示した。ヤマトロジスティクス(YLC)の小菅泰治社長を中心に、グループ全体でアカウントマネジメントに力を入れ、法人向けの事業領域への取り組みを本格化する。海外では、現地の有力企業と協業するアライアンス戦略を基本に拡大を図る。

 会見には1日付で就任した長尾社長のほか、ヤマト運輸の栗栖利蔵社長、YLCの小菅社長が出席した。

 長尾社長は宅急便にとどまらない「顧客のサプライチェーンの川上から川下までカバーできるソリューションビジネスに舵を切る」と表明。「後発ではあるが、ビジネスの軸としてチャレンジしていく」と話した。

 ヤマトグループは「働き方改革」、宅急便の運賃の適性化などの構造改革に取り組んでいる。長尾社長は3PL事業を強化する背景の一つとして「宅急便が適正価格になってもトータルの物流コストを上げないための提案をしなければ、われわれの価値が下がってしまう」との危機意識を挙げた。

 3PL事業の拡大に向け、宅急便の多くの顧客基盤に加えてYLC、国際物流を担うヤマトグローバルロジスティクスジャパン(YGL)などの顧客基盤を活用する。HDの常務執行役員を兼務する小菅社長の下、グループ各社の営業部門が連携する体制を構築し、各アカウントへの包括的な取り組みを展開。「グループの経営資源を組み合わせ、価値を提供できそうな顧客セグメント」(長尾社長)を早期に整理し、提案活動を行う。

 小菅社長は「各顧客に深く入り込み、各社異なる状況を把握した上で、最適なソリューションを提供していく」と述べ、YLCのロジスティクス・サービスとグループの宅急便などの機能により、他社と差別化していく方針を示した。

 3PLの提案は海外も対象とし、海外では各国の有力企業やラストマイルの物流網を持つ企業との協業により、アライアンス・ネットワークを構築する。17年にはタイで現地財閥と合弁で宅急便事業を始めているが、今後は各地域の事業の現状を整理し、早期にアライアンスによる拡大戦略を策定する考えだ。

 ヤマトグループは海外引っ越しやアジアでの宅急便事業を手掛けてきたが、「進んでいない」(長尾社長)との認識。長尾社長は海外での宅急便について「自前で行うのは簡単ではない」と、率直に現状を明かした。

■YLC、省力化けん引

 今年はグループにとって創業100周年で、今年度は2017-19年度の中期経営計画の最終年度となる。栗栖社長は構造改革の成果について「今期は昨年よりもサービスの供給力を数%上積みできる」と説明。加えて、宅配の不在率は2年間で2%下落しており、「その分提供力は増えている」(栗栖社長)という。

 ただし、「働き方改革はまだ途上」(同)として、グループを挙げて労働環境の整備を継続する。オペレーション改革の一環として、宅急便やロジスティクス業務の現場作業の省人化も推進する。これについて小菅社長は、「YLCが庫内オペレーションの効率化・省人化に率先して取り組み、実験装置になる」とさまざまな技術を積極的に試行していく意欲を見せた。