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 印刷 2019年04月15日デイリー版1面

長錦商船・興亜海運/定航統合、2段階。日韓航路、20年末に先送り

表・グラフ

 韓国近海船社の長錦商船と興亜海運は、コンテナ船事業の統合を2段階に分けて進める。韓国・海洋水産部によると、第1段階として長錦商船の東南アジア航路事業と、興亜海運のコンテナ船事業を新会社に移管。2020年末までに、日韓・韓中航路など長錦商船の残るコンテナ船事業を新会社に統合する。急速な体制変化による混乱を避けるのが狙いだが、地方港など日本の関係者が注目する日韓航路の統合は先送りされた格好だ。

 新会社の名称は、長錦商船の英語名「シノコー」と興亜海運の「興亜」を組み合わせた「シノコー興亜」が有力。ITシステムは長錦商船のものをベースとする模様。また、国営投資会社の韓国海洋振興公社(KOBC)は自国船社の構造調整が円滑に進むよう、両社に適切な金融支援を行う。

 韓国海洋水産部とKOBCは11日、長錦商船と興亜海運の両社がコンテナ船事業統合のための基本合意書を締結したと発表した。

 同時に海洋水産部は「アジア域内航路の韓国第2位、第3位の船社が自律的に統合することで規模の経済を実現し、韓国海運の新たな方向性を提示できると期待している」との声明を出した。

 長錦商船と興亜海運は18年4月、コンテナ船事業の統合で合意。当初19年末の統合を目指していたが、統合方式などを巡り、議論が難航していた。

 両社は今回の基本合意に基づき、15日から共同オペレーションシステムを稼働させるという。事務所の統合、航路の共同運営などを順次進め、10月までに新会社を設立。

 長錦商船の東南アジア航路事業と、興亜海運のコンテナ船事業を新会社に移管する計画だ。

■主要港、体制再編も

 アルファライナー調査に基づく、韓国主要コンテナ船社の船隊規模は表の通り。統合会社はSMラインを上回り、韓国国内3位、世界では18位規模になる。昨年の統合発表時から、長錦商船は船腹量をわずかに増加させているが、興亜海運は1万TEU以上規模を縮小した。

 日本の海運関係者が特に注目する日韓航路の統合は20年末まで先送りされた。このため、各社の日本代理店は現体制で当面維持される。

 長錦商船は現在、日本40港、興亜海運は同39港に寄港する。主要港-韓国航路は、韓国船社3グループ体制で運航されるが、「南星海運、東瑛海運はグループ会社だが、それぞれ別グループに所属している。当面はわれわれも同様の体制を望む」(両社の日本代理店関係者)。

 しかし、日韓航路まで新会社に一本化されれば、2グループに同一会社が所属することになり、再編は必至だ。

 協調配船も含めて、長錦商船、興亜海運ともにカバーする地方港は20港近くに上る。統合後は重複寄港解消に動く可能性が高く、代理店の集約など、難しい問題が浮上しそうだ。

■政府、海運再建支援

 韓国政府は16年の韓進海運経営破綻などを教訓に、自国海運・造船産業の競争力強化へ向けた「海運再建5カ年計画」を昨春発表。新造発注に対するKOBCを通じた融資など、支援体制を強化している。

 海洋水産部は最大手の現代商船から船腹規模5000TEU以下まで、大小十数社が存在する自国コンテナ船業界の現状を問題視。遠洋航路を手掛けるメガキャリア1社、近海航路の大手キャリア2-3社に集約されるのが望ましいと見て、業界の再編を後押しする。

 2社の統合後も、船社の数が多いことに変わりはない。

 海洋水産部は統合新会社と、韓国近海航路最大手の高麗海運や第4位南星海運を軸に域内船社を再編したい考えとみられ、中小船社についても、各陣営に合流するよう促しているようだ。