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 印刷 2019年04月09日デイリー版4面

記者の視点】鈴木一克:変化した平成の内航海運/令和時代へ課題解決に向けた道筋を

 1日に新たな元号「令和」が公表され、5月には改元。平成も残りわずかとなった。

 平成には災害が頻発し、内航船はその対応に従事した。阪神・淡路大震災や東日本大震災、記憶に新しい昨年夏の西日本豪雨、北海道胆振(いぶり)東部地震などが発生した際には、緊急救援輸送や被災地支援、復興などで内航船が活用され、その重要性が広く知れ渡った。今後もさまざまな災害が発生することが懸念される。そうした際に内航船が重要な役割を果たし続けるに違いない。

 内航業界自体の状況もこの30年で変化。輸送量は1990年ごろには年間5億トン台後半だったが、景気低迷などを経て近年は3億トン台後半に低下している。内航船の大手荷主も経営統合などが進み、内航事業を取り巻く環境は様変わりした。

 内航船の隻数は平成初期には9000隻を超える水準だったが、長期の景気低迷などもあって一貫して減少。2018(平成30)年には5223隻と平成初期に比べほぼ半減した。一方、1隻当たりの平均総トン数は増加し、89(平成元)年には396総トンだったものが、18年には727総トンに上昇した。

 事業者数も大きく減少。内航海運実事業者は平成初期には7000社超あったが、15年前の03年3月には4298社。18年3月には2985社と3000事業者を割り込んだ。特に貸し渡し事業者(船主)の減少が顕著。運賃・用船料の低迷などで経営環境が厳しいため、内航事業を廃業するケースも多かった。さらに、近年は船員確保が困難なことも事業継続の重荷となっている。内航船員数は近年約2万人で推移。船員の高齢化は大きな課題だが、業界として若手船員確保に取り組むなどし、30歳以下の船員の割合が増えてきている。

 他方、近年は陸上輸送から海上輸送へのモーダルシフト需要も高まっていることも特筆すべき事柄だろう。

 内航業界の平成を振り返る上で欠かせない話題の一つが、船腹過剰対策などとして行われた船腹調整事業から、船腹需給調整終了に伴う経済的影響を考慮したソフトランディング策である「暫定措置事業」(98年開始)へと移り変わったことだろう。

 その暫定事業の終了時期も見えてきた。国土交通省は3月31日に公表した暫定事業の収支実績と今後の資金管理計画で、事業の終了時期を従来よりも1年前倒しの22年度と示した。今後の内航船の建造増で建造納付金が増えることなどで、事業の残債務返済が早まり事業収支が均衡すれば、終了時期が前倒しされる可能性がある。

 現在、内航総連では業界の将来像を巡り、正副会長会議などで検討を重ねている。

 平成の間に変化してきた内航海運業が、今後どのような役割を果たしていくのか。国も今年度、暫定事業終了後も見据えた内航海運の事業の在り方を検討する場を設ける方針を示している。

 船員の確保、環境規制への対応、安定・安全輸送を確保するための事業環境構築など、課題は山積している。暫定事業の終了が見えてきた中で、課題をどのように解決していくかが、令和時代以降の内航海運業の発展には欠かせない要素となるだろう。