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 印刷 2019年03月25日デイリー版2面

国内船主の今】(159):金融庁審査に地銀恐々/LNG船保有、積極的に検討

 20日、東京新橋第一ホテル・アネックス。ティーラウンジで今治船主と海運ブローカーが新造整備について話し合っていた。

 今治船主が口を開く。

 「返船に伴う解約金を使って再投資したい。問題はオペレーター(運航船社)。どこか3年でも5年でも船を引いて(定期用船)くれる会社はあるか」

 海運ブローカーが答える。

 「任せてください。金融機関も大丈夫。一部の新興地銀が船舶ファイナンスから撤退するようだが、それでも融資余力を持つ地銀は多い」

■解約金を再投資

 今治、呉、尾道では船主への返船が始まりつつある。

 川崎汽船が発表した500億円規模の構造改革だけでなく、他の邦船大手も用船解約、返船の機運が高まっている。

 中型コンテナ船のほか、バルカーの期限前返船が続く。

 返船に伴い、船主には相応の用船解約金が支払われる。船主としては「余剰資金」を遊ばせておきたくない。新造船に投資することで償却資産を確保、税金対策に充てるのが王道だ。

 地銀関係者が話す。

 「地銀各社は夏場に金融庁の収益性に対するストレステストが控えている。四国、中国、九州の地銀は船舶融資残高を積み増し、少しでも融資内容を良く見せたい思惑がある。勢い、オペの与信については目をつぶってしまうケースもある」(船舶融資担当者)

 地銀が目をつぶるオペとは、欧州の新興オペ各社。とりわけ一部のBBC(裸用船)オペは用船料が滞納している。

 問題は、こうしたBBCオペに船舶を貸しているBBC船主の経営状況。BBC船主は同時に邦船オペと定期用船を結ぶ「国内船主」という別の顔も持つ。

 邦船オペ関係者が危惧する。

 「最近になり、当社が定期用船を結ぶ西日本地区の船主が多数のBBC契約を海外オペと結んでいるという情報が入った。当社と当該船主間の契約に問題がなくても、BBC契約に滞納が発生すれば、間接的に当社にもマイナス影響が出るのではないか」(邦船オペ幹部)

■3つのハードル

 「ウチもLNG(液化天然ガス)船の保有を検討し始めた」

 同じく3月中旬の今治市内。有力船主が新造LNG船の可能性について熱く語った。

 きっかけは今治船主の新造LNG船保有の案件。邦船オペがBBC用船、欧州電力へ投入する予定だ。

 商社関係者が話す。

 「定期用船、BBCともにドライ市況が低調で案件そのものがない。というより、欧州オペが相次ぎ来日し、用船料の減額継続、さらには用船料の一時繰り延べなんていう話さえ出ている」(船舶部)

 日本船主がLNG船を保有する際のハードルは自己資金の投入額の大きさ、船舶管理、中古船市場での流動性(売船)-の3点にある。

 LNG船は1隻の船価が200億円。自己資金1割としても20億円、2割なら40億円。これほどの資金を払える船主はそういない。

 船舶管理については、当初から船主ができないため、BBC契約で邦船オペの船舶管理に入る。最後の中古船の市場流動性こそがファイナンスの点で課題になる。

 メガバンク関係者が話す。

 「当行でも配船先未定のLNG船への融資はリスクが高く審査が通らない。仮に配船先が確定済みで、オペに信用力があったとしても中古船市場が確立していないLNG船への融資には原則として20-25年のフルペイアウト(融資完済)でないと難しい」(船舶融資担当者)

 新たな市場を求めてLNG船に参入する船主、地銀。船主とオペの与信をどこまで見るか。残価リスクに対する方針はいまだ定まっていない。

(国内船主取材班)

=毎週月曜掲載