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人材特集2020
 印刷 2019年02月27日デイリー版3面

MariTech 海事未来図】(8):NEC/印でコンテナ可視化

コンテナにRFIDを貼付
コンテナにRFIDを貼付

■国際競争力を強化

 近年、7-8%台の高成長率を続けるインド。モディ政権の「メーク・イン・インディア」政策も追い風に、製造業の進出も盛んだ。しかし、日系を含む外資進出企業は貧弱な交通インフラ、渋滞の悪化などに頭を悩ませている。インド政府も物流面での課題が輸出でのリードタイム長期化やコスト増、ひいては自国産業の国際競争力低下につながっているとして、問題視してきた。

 NECはそのインドで、進出企業のサプライチェーン改善に取り組み、インドの国際競争力強化に貢献している。

 2016年からインド政府系公社デリー・ムンバイ間産業大動脈開発公社(DMICDC)と合弁でDMICロジスティクスサービス(DLDS)を設立した。同社はインドの主要コンテナターミナル(CT)発着の輸出入貨物に、RFID(電子タグ)を貼付。CT内だけでなく、ムンバイ-首都デリー間の幹線道路や内陸デポなど主要な物流結節点にタグの読み取り装置(リーダ/アンテナ)を設け、海上コンテナの動静を可視化している。

 エンドユーザーはその情報をITシステム「ロジスティクスデータバンク」(LDB)を通じて確認する。グーグルマップと連動したシステムで、貨物を積載したコンテナがどこにあるかをほぼリアルタイムで把握することで、自社の在庫削減や生産計画の精度向上に役立てることができる。■RFIDを全貼付

 立ち上げ当初は、ムンバイ近郊で、インド最大のコンテナ港ジャワハルラール・ネルー港からスタート。ゲートに担当者を配し、通過する輸出入コンテナ全てにRFIDを貼付する。

 その後、北西部ムンドラ、ハジラ、南部チェンナイ、コチン、ツチコリン、北東部コルカタ、ハルディアなど対象港を順次拡大。2月中にはモルムンガオ、パラディプ、ムンバイ、エノーアの各港が参加する見込みで、インドの輸出入コンテナの9割をカバーする体制となる。

 今後、北西部ピパパブ港にも参加を呼びかける。これら港湾が参加すれば、カバー率は約95%まで高まる見通しだ。

 LDBは港湾の処理能力改善にも貢献している。LDBでは港湾内のコンテナ処理時間なども分析。滞留が長期化しているCTに対しては、印海運省が指導を行う。CT事業者も荷主、トラック業者など関係者と連携し、荷役の効率化などに取り組む。システムを最初に導入したJNPT(ジャワハルラール・ネルー・ポート・トラスト)では滞留時間が最大10%以上短縮された事例もあるという。

 インド政府は同システム開始に当たり、コンテナに対するRFID貼り付けと、利用料(MUC)徴収を義務付けた。DLDSはこの利用料をもとに、LDBサービスを継続的に提供している。

 情報処理したコンテナは累計1300万本超。RFIDは当初、回収・再利用していたが、紛失・盗難などでロス率が高まり、現在は使い捨て型に変更した。

■生産管理と連携視野

 日印両国が共同推進するデリー・ムンバイ間産業大動脈(DMIC)関連で、DLDSは唯一、具体的な成果を残しているプロジェクトだ。インド政府側の期待感、信頼感も強い。

 NEC交通・物流ソリューション事業部の寺門智久シニアエキスパートは「IT大国のインドで、NECが評価されているのはITシステムだけでなく、サプライチェーンを荷主・製造業の立場で知見・ノウハウを蓄積しており、適切な目標設定・分析ができることだ」と語る。

 インド政府は物流パフォーマンス指標(LPI)など、世界銀行が発表する各種指標を国際競争力のベンチマークとして重視している。18年LPIでは14年発表の54位から44位と大きく順位を上げた。ビジネス環境ランキングでも19年は17年発表の131位から77位とジャンプアップ。この改善について、インド政府からNECに対して「DLDSが間接的に貢献してくれた」とのコメントが得られたという。

 インド全土をカバーするという当初目標は、参加港湾の拡大でおおむね達成できた。DLDSは19年度からの次期中期経営計画で、提供するソリューションの拡充を目指す。より高度なサプライチェーン管理に利用できるシステムに改善していくことにより、インドの国際競争力向上に貢献していく。

(週1回掲載)