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人材特集2020
 印刷 2019年02月20日デイリー版2面

MariTech 海事未来図】(7):福岡造船/ARマーカー使い部品管理

ARマーカーを通じてタブレットに表示された配管部品の情報
ARマーカーを通じてタブレットに表示された配管部品の情報
ケミカルタンカーには約1万5000本もの配管が使用されている
ケミカルタンカーには約1万5000本もの配管が使用されている

 タブレットをかざせば、目の前の部品の情報がすぐ画面上に現れる-。福岡造船(福岡市)は2018年6月から、ケミカルタンカーの配管部品を対象に、AR(拡張現実)マーカーを用いた船舶部品の管理を行っている。工員の負担軽減と作業効率の向上を図ることを目的に、富士通などと共同でシステムを開発した。

■配管探しに30分

 「これまで必要なパイプを1本探すのに、30分以上かかっていた時もあった」と次山篤設計部長は話す。

 1万9900重量トン級のケミカルタンカー1隻に使用される配管部品の数は約1万5000本。ユニットの組み付けを行うまでに、大量の紙図面の中から目的の図面を探し出し、必要な管を確認し、さらに複数のパレットに詰まっている部品から必要な管を見つけるという作業が必要だった。

 工場内の部品置き場に積まれた管の中には、似たような形状や長さのものが多い。目当ての部品が見つからない場合、作業員が見落としているだけなのか、それとも管の製造と発送が終わっていないのか、それとも輸送過程で誤配が発生したのか-ということを調べるのにリソースが割かれてしまう。

■工程管理効率化

 ARマーカーによる部品管理は、こうした状況を改善するために導入された。配管一つ一つにシールを貼り付け、進捗(しんちょく)、保管場所、図面、重量、納期といった情報をデータベース上で共有化している。

 「現場ではタブレットで読み取るだけでなく、取り付け完了などの情報も入力し、工程の混乱を防いでいる」(次山部長)

 手順としては、まず福岡造船が設計時にパイプの情報を登録する。

 発注を受けた外注先は、送られてきた図面のマーカーを読み取り、製作実績を書き込む。製造が完了し検品を終えた部品には、シール印刷したマーカーを貼り付けて納品。受け取った福岡造船ではタブレットのカメラ機能でマーカーを読み取って確認した後、保管場所の入力を行う。

 最後に配管部品の施工が終わるとマーカーシールを剥がし、取り付け済みとしてシステムへ登録する。

 システムやネットワークの構築に当たっては、配管加工を手掛ける小川工業所の協力も大きい。同社では製作実績の登録や納入などのデータ入力を行っており、福岡造船の端末でも進捗状況の確認をリアルタイムで行えるようにしてある

■なぜARなのか

 福岡造船は工程管理にARマーカーを採用した理由として、1枚8円という圧倒的なコストパフォーマンス、複数マーカーの同時認識と識別が可能という性能、そして18%の欠損までは認識できるという耐久性を挙げている。また、プリンターで出力して作成するため汎用(はんよう)性が高く、図面上にマーカーを印刷できる点も大きい。

 次山部長は「製造から取り付けまでの工数削減効果は35%を目標にしている」と意気込む。将来的には管理対象を、配管のように部品数が多いバルブや、資材購入品、船殻部材などにも拡大。グループ会社である渡辺造船所や臼杵造船所への導入も視野に入れている。

 「口頭での指示から、現場で働く一人一人にデータを送れる時代。そういった指示形態ができるようになる」と次山部長は話していた。

(週1回掲載)