印刷 2019年01月30日デイリー版1面

MariTech 海事未来図】ChartCo/電子書籍ソフト、日本船採用200隻突破。規制順守・安全運航サポート

呉地域の船主向け製品説明会
呉地域の船主向け製品説明会

 海事関連ソフトウエア大手の英ChartCoが提供するIMO(国際海事機関)規則などの関連書籍を電子化した「レッグ・フォー・シップ」が高く評価されている。日本顧客向けの納入実績は200隻を超えた。環境規制順守を支援する「エンバイロ・マネージャー」や同社製ソフトのプラットフォームとして新開発した「ワンオーシャン」と併せ、「デジタル技術で安全運航管理とコンプライアンス(法令順守)をサポートしていく」(中川貴司エリアセールスマネージャー)考えだ。(聞き手 山田智史)

 ChartCoは日本の販売代理店の1社である日本水路図誌(本社・横浜市、久保芳朗社長)と協力し、22日に広島県呉市で呉地域の船主向けにChartCo製品の説明会を開いた。

 「レッグ・フォー・シップ」は、船上に保持しなければならないIMOやILO(国際労働機関)などの規則や旗国のルールに関する書籍を電子化したソフトウエアになる。船上でも陸上でも使用でき、更新や検索が容易なことが特長だ。

 本船が所持する国際規則などに関する書籍は20―30冊に上るという。それらは規則の改定や旗国から頻繁に発出されるサーキュラーなどに応じ、随時更新することが求められる。

 改定や更新が適切に行われていなければ、ポートステートコントロール(PSC、寄港国検査)で不備を指摘される可能性があり、それら事務作業は現場の負担になっている。

■主要24カ国が認可

 「レッグ・フォー・シップ」は主要24カ国で使用が認められており、陸上ではウェブサイトを通じて、本船では2カ月ごとに配布されるDVDによりアップデートできる。検索機能を使えば、PSCの要求にも的確に対応できる。

 その利便性が高く評価され、日本船主の保有・管理船向けの採用実績は200隻を突破。世界では3700隻超に導入されている。

 「エンバイロ・マネージャー」は、IMOのMARPOL(海洋汚染防止)条約などの順守を支援するために開発されたソフトウエア。

 本船のGPS(衛星利用測位システム)機能を同ソフトをインストールしたパソコンに取り込み、現在位置で適用されるMARPOL条約や各国の規制を画面に表示。地図上の任意地点にカーソルを動かすと、その地点で適用される規制も表示される。

 大気汚染物質やバラスト水、ビルジ(含有水分)、食品廃棄物などの処理を誤れば、罰金を科されたり船長や本船が拘束されるケースがある。そうしたリスクの回避を支援することが狙いになる。

 処罰される主な理由は、MARPOL条約で規定される廃棄可能エリアをベースラインからではなく、沿岸からと誤解していることにあるという。同ソフトは基準線からの距離を色分けして表示し、誤った措置の未然防止を図っている。

 国際的な環境規則に加え、国・地域独自の環境ルールも年々厳しくなる中で、「エンバイロ・マネージャー」を採用する船舶は増加。世界で800隻以上の船舶が導入している。

 ChartCoは昨夏、同社が提供するサービスのプラットフォームとなる「ワンオーシャン」も開発し、市場に投入した。従来の紙・電子海図のアップデート機能に加え、同社製各種ソフトを一元管理できるほか、気象や港湾、海賊、航行警報、PSCなどの各種データ機能を付加することもできる。

 ChartCoは船舶関連のソフトウエア大手で、海図では世界トップ3に入るサプライヤー。1万隻の船舶が同社ソフトを採用しているほか、紙海図も含めると同社がサービスを提供する船舶は1万3500隻に達する。