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 印刷 2018年01月24日デイリー版1面

インタビュー 今後の経営方針】福永海運社長・福永庄一朗氏/船主業ど真ん中で勝負

福永海運社長・福永庄一朗氏
福永海運社長・福永庄一朗氏

 福永海運(本社・大分県佐伯市)は、外航船16隻(新造発注残2隻含む)を保有する国内船主。2010年以降、船主として戦える船型をハンディマックス(スープラマックス、ウルトラマックス)と定め、同船型に絞って新造整備を進めてきた。「為替リスクを抑え、船主としてコントロールできるところで勝負する」「船主らしい船主を目指す」と語る福永庄一朗社長に同社の目指す経営方針について聞いた。(聞き手 山本裕史)

■自分の船は自分で

 --現有船隊は。

 「18年1月時点で14隻。内訳は自動車船7隻、ハンディマックス5隻、チップ専用船、パナマックス各1隻。これ以外にハンディマックスの新造発注残が2隻ある」

 --船舶管理の考え方は。

 「『自分の船は自分でみる』を基本としている。現在、チップ船だけは管理会社に任せているが、よほどの理由がない限り自社管理にこだわる。何十億円という借金をし、個人保証までしている船を他人に預ける考えはない。自分の娘を最初から他人に預ける親にはなれない。新造船の監督も図面承認から引き渡しまで全て当社で行っている」

 「造船所の監督室から福永の監督がいなくなることは年末年始の休みだけだ。私がいなくてもよいといっても、当社の監督は必ずいる。なぜなら、当社社員は私よりも自分の船だという意識が強いからだ。素晴らしい船舶管理会社は世界中に存在するだろう。ただ、自分が信頼している自社監督に勝る管理会社はこの世に存在しないと信じて海運業に身を置いているので、この考えを変えるつもりはみじんもない」

■世界はドルで戦う

 --船舶融資もドル借り入れを中心にしている。

 「最大の理由は、為替については興味がないということに尽きる。船会社が船でもうけなくて何でもうける、というのが私の持論。金融のプロが分からないことを、田舎の船屋が分かるわけがない。自分で予測できないものに興味を持てない。生意気かもしれないが、当社は船主として世界の舞台で戦いたいと考えている。世界中の船主が皆、ドルで勝負している。日本だけが低金利という側面だけで円借入するが、それでは円高時のリスク管理はどうするのか」

 「自分が福永海運の社員なら本業の船主業で経営が傾くなら自分でも納得するが、為替で会社の屋台骨が危なくなったとき、私は社員に説明することができない。アスリートの世界で言うと、オリンピックに出場するには世界の標準記録を突破しないと、たとえ日本で一番になっても出場すらできない。日本の船主も『七つの海』を言葉にするなら、世界の船主と同じフィールドに立つべきだと思っている」

 --BBC(裸用船)にも距離を置く。

 「償却財源の確保も同様だ。税金対策として新造船を建造、償却財源を確保するという考え方は、船主業として順番が逆ではないのか。税金も同じ考え方だ。次世代の経営者に自分がバトンをタッチしていくとき、先延ばしにした税金は必ず払うことになる。結果的に償却財源を確保するならいいが、現在、主流となっているBBCスキームのような金融商品的な商売は、私が考える船主業の対極に位置する」

■会社は方針と環境

 --今後、具体的に船主としてどのような成長軌道を描いているか。

 「身の丈の経営を基本として、自社で管理できる範囲で進化していく。以前、拝読した記事で、ある船主さんが『船主業とは船舶管理業である』と仰っていたが、後輩船主であるわれわれに言っていただいたと理解している。船会社である以上、お客さまから任された荷物を積み地から揚げ地まで何事もなく運んで当たり前。少しずつでもよいから信頼を得ていこうと思っている」

 「おかげさまで弊社の10年以降の船舶稼働率は99・902%。これも平素から福永海運とお付き合いしていただいている皆さまのおかげと感謝申し上げたい。今後も海運業に携わる者として、ゆっくりではあろうが船主業という道のど真ん中を歩んでいきたいと思っている。よく、忙しいでしょうと聞かれるが、船会社の親方がやることなんかそう多くはない。会社の方針を決めること、社員が働きやすい環境を整えること。それ以外は、社員の方が仕事はできると思っている」

 ふくなが・しょういちろう 87(昭和62)年大分県立佐伯鶴城高体育科卒。第68回全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園大会)に出場し、佐伯鶴城の五番打者として準々決勝に進出。京都産業大中退後、祇園花見小路クラブシェトワで2年間勤務。太洋産業貿易に入社。2年間の米ニューヨーク勤務後、福永海運入社。04年から現職。大分県佐伯市出身、49歳。