日本海事新聞 AdオンNet The Japan Maritime Daily
完全定額の次世代高速ブロードバンド。コストカットと安全運航に貢献 Fleet Xpress (フリート・エクスプレス) 2017/04/03 12:00 日本海事新聞 AdオンNet

船陸間衛星通信サービスなどを手掛けるインマルサット(本社:英国ロンドン)の、新サービス「Fleet Xpress(フリート・エクスプレス)」が、急ピッチで日本市場のシェアを拡大している。2015年に打ち上げられたインマルサット第5世代衛星を駆使した「次世代衛星通信」として、Kaバンド(20/30ギガヘルツの周波数帯域)の高速性能に、フリート・ブロードバンドの、Lバンドによるバックアップを組み合わせたことで、通信スケールを格段に向上させた。地球上どこでも途切れることない通信サービスを可能にする統合システムを実現した。これまでの船舶の航行上の通信環境を画期的に改善させ、また陸上で生活する時とほぼ同様に航海中も「高速ブロードバンド通信環境を常に実現」できることで、特に船主やオペレーター、船舶管理事業者などの密な連携が必要とされる海運関係者の間で、その利便性や通信機能の安定性が高く評価されてきている。その魅力を紹介する。


IoT ビックデータを駆使し通信環境を劇的に改善

インマルサットの新サービス「Fleet Xpress」は、船舶と陸上部門との高速ブロードバンド通信の常時安定提供を可能にするサービス。同サービスでは、数多くの船種から集積された、IoT ビッグデータを日常的な運航効率判断のベースとすることで、洋上通信を大きく飛躍させた。長期間におよぶ航海中の船員の家族との大事なコミュニケーションツールとなるほか、クルー間の交流、また安全運航を管理する陸上側スタッフにも大きな変革をもたらしたことで、船舶の安全運航と船員の福利厚生の双方に「新時代」が到来した。
 現在、世界で運航される船舶においては、船陸間の連絡密度がさらに増え、船舶のシステム上、より多くのデータが必要となっているほか、船舶に課せられる多くの規制などにより、船主はより質の高い通信環境の整備が求められている。船主やオペレーターにとって、「安全運航」の確保は最重要課題。運航効率をより向上させるためには、運航にまつわる詳細なデータ収集が必要で、それに伴って、通常のEメールの送受信以外のデータの更新作業も海技者には、より煩雑となってきている。インマルサットの新サービス「Fleet Xpress 」で、これらすべてが解決可能である。

デュアル・ネットワークでも月額通信費固定

Fleet Xpress は、2つのサービスで構成されている。1つが『グローバル・エクスプレス』で、Kaバンド通信サービスだ。これを、2007年から提供しているLバンド(1.5/1.6ギガヘルツの周波数帯域)の『フリート・ブロードバンド』(FB)が補完する形だ。一方『グローバル・エクスプレス』は、2015年に打ち上げられた第5世代衛星を利用する。これに、従来の「LバンドのFB」のネットワークを合わせ、1社で運営する通信として顧客に提供することで、サービス内容や質が格段に向上させられるという仕組みだ。具体的メリットは一目瞭然。届けられるネットワークが2つになって通信が安定するほか、どちらか一方に通信トラブルが発生しても1社で統括して運営することで、「月額の基本料金は変わらず支払いが安定する」という最大級のメリットがある。

船舶の安全運航を実現し海事産業を革新へ

「フリート・エクスプレス」では、従来型の通信ツールといったい何が違うのか。
ある船舶管理事業者は、同サービスの利点について「特定のアプリに約束された帯域があるため、必ず通信できるという点で革新的に進化した。」と話す。これまで船主は、VSATで行う通信すべてをカバーする帯域の契約をする必要があった。しかし『フリート・エクスプレス』では、船主が使うミニマムの帯域以外は、アプリケーションを提供する第三者(サードパーティー)がそのサービスと帯域を合わせて提供できる、という革新的大きな違いがあり、また『フリート・エクスプレス』では、別の帯域でメーカーが契約でき、アプリケーションと帯域をミックスしたサービスが可能。VSATサービスでは、その都度通信状況に左右されるため、通信できない場合があるが、『フリート・エクスプレス』では、「特定のアプリに約束された帯域があるため、必ず通信できる」という。昨年来日した同社のドリュー・ブランディ上席副社長は「日本は、商船、漁船を含め非常に重要なマーケットで、海事産業の需要を加速するイノベーション(革新)の中心だ。『フリート・エクスプレス』は、船舶の運航に有益性をもたらし、海事産業を変革するほか、ビッグデータを巡る状況の大きな変化を利用できる新しいコミュニケーションのスタンダードとなる」と話している。

Fleet Xpress は2017年2月二開催された「Smart 4 Sea カンファレンウ&アワード」において、優秀賞を受賞した。
(左)インマルサット・ドリュー・ブランディ上席副社長

これに合わせて同社は、現在、データ解析、リアルタイム監視、遠隔医療・診断、セキュリティー、業務管理のためのツールとして、同サービスの機能を最大限に活用するためのアプリ開発の促進をおこなっている。主に運航効率、定期メンテナンス、サポート用IT、セキュリティーなど船舶管理全般を対象としているが、今後は、船員の雇用促進、定着率向上などのアプリにも重点が置かれる予定だ。

LNG /LPG船など長距離航海を担う船舶には必携
LNG /LPG船など長距離航海を担う船舶には必携

第6世代となるI-6衛星群にも着手

またグローバルでの事業開発としてLバンドおよびKaバンドサービスを今後さらに拡充させるため、2015年12月に同社は、第6世代となるI-6衛星群の初号機と2号機の製造契約をエアバス社と締結し、サービス提供に向けた整備を急ピッチで進めている。現段階では、南極など極地における悪天候にも左右されない衛星通信を可能とすることが証明されており、世界レベルでのネットワーク構築への投資に注力している。

Fleet Xpress Coverage


2月には、アイスクラスの耐氷船Ocean Novaに搭載され、南極水域で行われた試験運用の成功により、Nova Cruising社から本格運用の発注が行われた。この試験では、同サービスが南極の厚い雲や降雪にもよらず、水平線にある衛星との通信を可能にすることが証明された。同社では、過酷な環境下にも「Fleet Xpress」を届けることで、今後の通信技術開発につながり、海運業界へのサービスを拡大に貢献できるとしている。

[導入事例インタビュー] 興洋海運株式会社 管理部 IT担当部長 猿谷充弘 氏

興洋海運株式会社(東京都港区:関口不二夫社長)は、パームオイルやケミカルなどの輸送を手がける、オーナー兼オペレーターで、同社の所有船舶の多くがインハウスでのフル管理船。現在運航している船舶は北米航路5隻、アジア域内航路8隻、T/Cアウト3隻と幅広く、サードパーティの管理船も含め外航管理船にはすべてにFleet Xpress(一部VSATからのアップグレード待ち)を導入している。同社は1996年からシンガポールに進出し、2007年には同社の船舶管理会社GREEN WAVE SHIPPINGを設立し、船舶管理の拠点をすべて同地に集約した。現在、東京本社は主に船主業務部門、関連会社管理部門として機能させ、躍進を続けている。現在、同社の外航長距離船の全船隻に「Fleet Xpress」が搭載されており、船陸間の安全確保はもとより、乗組員の福利厚生の拡充など、様々な利点があると話す。導入を決めたのは、同社船主業務部門。同社でIT統括管理を行う、猿谷充弘氏のお話をもとに、「Fleet Xpress」導入を巡り、安全運航や船員確保にどのようなメリットを実感できたか伺った。


― 「Fleet Xpress」の導入を決めた経緯についてお話をきかせてください。

(お話を伺った人)興洋海運株式会社 管理部 IT担当部長 猿谷 充弘 氏
(お話を伺った人)興洋海運株式会社 管理部 IT担当部長 猿谷 充弘 氏

Fleet Xpressの前身であるVSATの導入を決めた2013年当時、既に船陸間インターネットの常時接続の必要性が高まっておりました。営業配船面、船舶管理面はもちろんのこと、インターネットの開放による船員福利向上の目的からも定額常時接続のプランを探しておりました。
その後2015年に初めて、導入済みVSATからアップグレードする形でFleet Xpressを導入しました。導入後、VSATに比べスピードがかなり向上したのが確認できたため、全船隻に導入することに決定しました。

― 導入後、海上職、とりわけ船機長からどのようなフィードバックがありましたか?また、使い勝手や稼動状況はいかがでしょうか?

昨今ではコンピュータによる日々の業務が必須となっておりますが、まだまだコンピュータの知識が乏しい船員が多い中、何かコンピュータにトラブルがあると、すぐにリモート接続で解決してくれる環境があるのは非常に助かるというフィードバックを受けております。
また、当社船においてはインターネットの利用を船員への解放しております。これにより、陸上にいるときのように、SNSなどでの家族・友人とのコミュニケーションが取れるのは非常に嬉しいということも、多くの船員が話しています。以前は、クリスマスの時期など長期航海で離れた家族や友人と連絡が密になる時期が集中し、繋がりにくくなる時もありましたが、Fleet Xpressになってからは、かなり改善されたと思います。

― 安全運航確保についてのFleet Xpress の役割は?

まだ実現には至っておりませんが、将来的には本船内の各機器のリアルタイムモニタリングを導入し、本船側だけでなく、陸上からも異常検知やメンテナンスタイミングの把握を行い、より安全な航海を実現できるようにしたいと思っております。FXはその基盤となる技術で、常時接続によるリアルタムデータ転送を実現できる重要なインフラだと認識しています。

― 陸上職(海務・工務)には、どのようなメリットがありますか?

海務面で言えば、SMS (安全運航システム) マニュアルの配布やアップデート、詳しい図や写真が入ったメールサーキュラーなどが容易に行えるようになりました。また、最近ではECDIS搭載により海図が電子化され、アップデートデータがすべてメールやダウンロードで配信されますので、高速な通信環境により、スムーズにデータの配信ができるようになりました。
工務面では、PMS(船体保守整備管理システム)や発注管理システムの導入により利便性が向上しています。また弊社の場合は、導入済み全船隻がInmarsat社提供のシステムなので、一括管理がしやすいというメリットがあります。

― 使用上の最大のメリットは何でしょうか?ほかにもあれば色々教えてください。

インターネット常時接続とスループット、そして定額請求です。Fleet Xpressでは、Kaバンドはもちろん、バックアップラインとして導入しているLバンドも含めて通信容量の制限はありません。これにより色々な可能性が広がります。今までは船はオフィスから遠く切り離された環境でしたが、FXの導入により、まるでオフィスの横にいるような環境が実現できるでしょう。
例えば、船内IT機器のリモートメンテナンスです。まるで隣の席にあるコンピュータをメンテナンスするような感じです。今までかかっていた技師派遣費はほとんどゼロになりました。
また年間で通信費の予算を組んでいる経営側としてはコストの予測が立てやすくなります。突然の高額請求は発生しませんから精神衛生上もよくなりましたね(笑)。
オフィス側からでなく船員からもインターネットの需要は大変大きいものです。
ケミカルタンカーは船員を確保することが難しくなってきておりますので、船員の需要に合わせてインターネットを提供することで、良い船員が当社に根付いてくれればうれしい限りです。
またMLCなどにより、船内でも陸上に近しい生活環境を整えことが必要となってきておりますので、インターネットがますます必要になってくるでしょう。

― 今後、インマルサットに希望は?

技術の進歩により機器やアンテナがもっと小さくなってくれるといいですね。また、今は現在のサービスでも満足ですが、もっと高速で安定したスループットのサービスを安価でご提供いただける時代が来ればよいですね。テクニカル面では本当に問題がなく、トラブル時の修理コストも減りました。より料金を安価にするためには、ユーザー数と金額の兼ね合いになるでしょうが、Fleet Xpress はまさに次世代型通信。「一つ先の時代を行く通信」と考えて、コスト面でも満足しています。

LバンドとKaバンドのデュアルネットワークによる海事サービスモデル

[お話を伺った人] インマルサット株式会社 ソリューションエンジニア 三好 豊樹 氏

― Fleet Xpress はこれまでのKuバンドVSATと、どのような点が違うのでしょうか?

まずは、同じ常時接続であっても、FX移行以前に使用していた「Kuバンド」はもともとが移動体のサービスでないものでした。平たく言えば、「基本的に陸上対応」のものを無理に海上でも使用していた形です。今回のFXでは、通信範囲の対象として「海上・航空を含めグローバル」としています。Kaバンドの衛星は新しいテクノロジーであるため、世界でも数が少なく、キャパシティ的に十分余裕があることから、高速通信が実現できているのです。つまり、十分かつ安定的に通信ができるという点では大きな進歩を遂げられたのではないかと自負しています。第5世代衛星のサービス範囲内どこにいても同じ通信状況が確保でき、またどんな環境でもどんな悪天候でも使えるのが利点ですね。

― 実際の使いやすさはどうですか?

Fleet Xpressは、常時接続が可能な通信として、自社所有衛星では、初めてのサービスです。
KuバンドのVSATについて、「どこに(使用上の)限界があるのか」についてなど、経験値が十分に蓄積された中での提供、となったため、実際の乗組員からのフィードバックにかなり改善が見られ、乗組員からの率直な感想としては、「福利厚生のツール」として、乗船中の余暇を十分に楽しんでいる」という意見が多くみられています。実際にサポートサービスに割く時間が短縮されているのも事実です。また、船・機長クラスにとっても、安全運航確保のためのタイムリーな情報入手に役立っているとの話を聞きます。陸上からも、何らかのインストラクションを本船にするのも容易となり、また本船からのトラブル関連の連絡そのものが格段に減っているのも事実です。

― 陸上サイドの方へのメリットは

常時接続できる点、またリモートアクセス対応ができるということで、船舶での通信環境を管理するITマネージャーにとっては、不必要な訪船や、それに費やす労力を抑えられるだけでなく、第5世代・第4世代衛星を2つ合わせた「デュアネットワーク」を、一括費用で対応できるため、通信費用が抑えられるというメリットがあります。データ通信費はすべて、月額固定で請求書に含まれるため、不測の事態が発生し通信回数が増えた場合にも「高額通信費」がまったく発生しないというしくみです。

― 月額固定で提供できるのはなぜですか?

一般に陸上で使用されている、4G・3G自動切り替えのように、海上でもKaバンド・Lバンドを自動切り換えできます。Kaバンド衛星とLバンド衛星を全て自社で所有しているため、完全固定額でサービスが提供できます。
 「Kuバンド(12-14ギガヘルツの周波数帯域)のVSAT(超小型衛星通信地球局)もバックアップ通信を持っていますが、VSATがオフラインになると船全体がオフラインになり利用できなくなります。『フリート・エクスプレス』は、本船に搭載する設備の中に、2つの衛星の端末の回線をモニターするネットワーク・サービス・デバイス(NSD)があります。これにより、Kaバンドのシステムがオンラインならば、船の通信をこれで行い、一方、Kaバンドのシステムがオフラインなら、自動的にバックアップのFBのネットワークで通信できる、という仕組みです」

― ユーザーが増えても容量的に大丈夫ですか?

Fleet Xpress Spot Beam Coverage
Fleet Xpress Coverage

Kaバンドの場合は、船や航空専用で使用いただくことを目的に打ち上げた衛星なので、実際、まだ使用キャパに十分な余裕があるため、現在、市中に出回っている通信に比べて、業界では「より将来性があるのでは」と考えています。逆に、Kuバンドは、船・航空以外の陸上の全ユーザー向けの衛星で、通信容量的に将来的には限界が来る時もあるかもしれません。弊社は何世代も先の通信を見据えて、海上・陸上ともに役立てるための、的確な通信環境の提供を行っています。

[お話を伺った人]
インマルサット株式会社 ソリューションエンジニア 三好 豊樹 氏

[お問い合わせ] インマルサット株式会社
セールスマネージャー・高橋佳子
〒106-0032
東京都港区六本木1-9-10 アークヒルズ仙石山森タワー25階
Tel:03-5545-5184 Email:japan@inmarsat.com Web: www.inmarsat.com

[セールスマネージャーからのコメント]
世界初となる移動体向けKaバンド衛星を利用して船舶向けブロードバンドサービスを提供しています。船がどこにいても高速インターネットが利用できます。是非、Fleet Xpressをご検討ください。

ページ先頭へ