■商船三井が自社訓練船の導入を決めたのは2006年暮れのこと。その年に自社運航船の海難事故が4件続けて起きたことがきっかけでした。同社は10月に「緊急対応委員会」を設置。船員教育の強化や設備機器の改善などを骨子とする安全強化策の一つとして、自社専用の航海実習船導入に踏み切ったのです。民間企業としては異例であり、安全運航にかける同社の決意を表す取り組みとして内外で注目を浴びた出来事でした。
■「SPIRIT OF MOL」は、かつて旧運輸省・航海訓練所が運航していた練習船です。1972年に建造され、2004年6月に引退するまでに1万7000人を超える船員を世に送り出しました。これを民間企業から購入した後、広島県福山市の常石造船による改造工事を経て、船齢30年を超える船体は立派に若返り、2007年7月から訓練船としての第二の人生を歩み始めたのです。
■専任の教官が乗船し、一度に訓練生180人を教育できる 「SPIRIT OF MOL」の1回の訓練期間は4-6カ月。同社の主要船員確保拠点であるフィリピン、インド、ロシア、ベトナム、中国、インドネシアなどで採用した幹部候補生(キャデット)の新卒者が乗船対象で、同社のスタンダードとMOLシーマンとしてのスピリッツを植えつけるのが狙いです。
■初回の訓練は、選抜した専属講師7人と乗組員33人により、フィリピン人とロシア人の訓練生約70人を乗せて2007年7月23日にフィリピン諸島の訓練航海に出帆しました。出帆前に開催された披露式典では、フィリピン労働雇用相、マニラ市長、海事関係者が多数参加し、安全運航を支える優秀な船員育成に取り組む同社の姿勢を称えました。
■「SPIRIT OF MOL」は、今日も世界各国の訓練生を乗せ、安全運航を支える優秀な船員を育成するために実習訓練を続けています。 |